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女性を変える肉体システム、女性ホルモンについてきちんと学ぼう Vol.3

これまで2回にわたって女性ホルモンに関する
基礎知識をお伝えしてきました。
生理や妊娠にまつわる生理学的メカニズムを
押さえたところで、今回は少し応用編。
女性ホルモンに関する
ちょっとした疑問を解決していきます。

ピルとは何?有効な使い方は?

婦人科系の話題で登場することが多い
「ピル」というワード。
一度は耳にしたことがある
という人も多いかと思います。
では「ピル」とは
いったいどのようなものなのでしょうか?
効果や、作用などについて
整理していきましょう。

ピルは避妊を目的に
使用されてきた側面もあるので、
正しい知識なく、なんとなくよくない印象を
持っている人が多いのが現状。
しかし実際は、ひどいPMS(月経前症候群)や
月経痛に悩まされている人に、
低用量ピル(LEP=low-dose E+P)の服用は
大きな効果を発揮し、
毎日の生活をより心地のいいものにしてくれます。

ではなぜ、ピルはPMSや
月経痛の改善に効果的なのでしょうか?
ピルにはエストロゲンとプロゲステロン
二つのホルモンが配合されていて、
ピルを飲むと二つのホルモンが
すでに分泌されていると錯覚を起こします。

その情報が脳の視床下部にフィードバックされると、
視床下部はこれ以上
ホルモンを出す必要がないと判断。
つまり、ピルを飲むと
ホルモンの量が低いレベルで安定し、
ホルモン分泌の激しい起伏がなくなり、
服用することで日常生活に支障をきたす
PMSの症状が治まったり、
月経痛や月経不順が改善するといった効果が
見られるという仕組みです。

ただし低用量ピルを飲むと
血液がかたまりやすくなり、
血栓症のリスクが上がると言われています。
①35歳以上、②タバコを吸う、③肥満、④家族に
心筋梗塞などにかかった人がいる、
いずれかに当てはまる人は注意が必要。
また、乳がんの既往がある人は使用できません。
服用による恩恵と副作用のリスクを
きちんと見極め、選択しましょう。

骨盤のゆがみや仙骨の動きは月経に関係しますか?の画像

骨盤のゆがみや仙骨の動きは
月経に関係しますか?

骨盤のゆがみはさまざまな不調とひもづけられ、
月経とも関係しているイメージはありませんか?
実は、意外にも骨盤のゆがみは
月経とは関係しません。
そもそも骨盤自体がゆがまないのです。

日常で骨盤が開いたり閉じたりすることも
なければ、仙骨もほとんど動きません。
ちまたで言われる骨盤の話は、
実際は正しい情報ではない部分が多いもの。
日常生活のくせで骨盤は
ゆがむものというイメージが強いので驚きですね。

骨盤は、左右の寛骨
(腸骨、坐骨、恥骨が結合したもの)、
後方の仙骨、尾骨の三つの骨が一体化したもの。
寛骨は左右2個で構成され、
前面は恥骨結合という軟骨で、
背面はいくつもの靭帯によってつながっているため、
とても強固にできています。

そのため骨盤は妊娠中、出産時、産後以外に
形が変わることもゆがむことも
開閉することもありません。
仙骨はごくわずかに動くのですが、
それも整形外科領域の教科書にさえ
「前後に傾くとされている」と書かれているほどで、
その動き自体がきちんと確認できない程度。

そして女性の場合、
骨盤は洗面器のように広くて浅い形状で、
その“小さな濠”の中に
子宮や卵巣が収められています。
生命を育むためのとても重要な臓器なので、
外部からの影響を受けないように
骨盤内で大切に守られています。

つまり卵巣や子宮は
外部の影響を直接的には受けません。
月経に関係するのはあくまでも
エストロゲンとプロゲステロン。
なので、月経関係の悩みには、
生活リズムの改善やピルの服用といった、
この二つのホルモンのバランスを
整えてあげることが大事になるわけです。

正しい知識を持ち、変化する体と上手につきあうの画像

正しい知識を持ち、
変化する体と上手につきあう

全3回にわたってお伝えしてきた
女性ホルモンの話はいかがだったでしょうか?
一生涯を通じてホルモンの影響で
変化し続ける女性の心と体。
その不安定さでふがいない思いをしたり、
悩みを抱えたり、
つき合い方が難しい側面も大いにあります。

しかし、正しい知識を知るということは
正しく対処することへの第一歩。
正しい知識の基、
自分の体にあったケア方法を選択し、
場合によっては産婦人科医の力を借りて、
上手につき合っていきましょう。

教えてくれた人=高尾美穂

産婦人科専門医。スポーツドクター。
女性のためのクリニック「イーク表参道」副院長

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