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女性を変える体内システム 女性ホルモンについてきちんと学ぼう Vol.1

女性を変化させる要因にはさまざまなものがありますが、
中でも特に影響が大きいのが女性ホルモン。
今回は女性ホルモンと、
それらが体内でどのように作用しているのか
という基本知識を押さえていきましょう。

月経と妊娠の仕組み

女性の体では毎月、
妊娠できるように排卵が起こり、
精子を待ち、子宮の内膜を厚くして
赤ちゃんを受け入れる準備が整えられます。

その時に精子と卵子が受精して子宮に着床すれば
妊娠しますが妊娠しなかった時は、
赤ちゃんのために準備した子宮の内膜が
いらなくなるので体の外に排出されます。
この排泄が月経(生理)です。

この仕組みのカギとなるのが、
エストロゲン(卵胞ホルモン)と
プロゲステロン(黄体ホルモン)という
2種類の女性ホルモン。
脳内の視床下部の下垂体を経由して指令が届くと、
卵巣からエストロゲンが分泌され始めます。

エストロゲンには子宮内膜を厚くする作用があり、
分泌量がピークを迎えると排卵が起こります。
すると今度は卵巣からプロゲステロンの分泌量が増加。
プロゲステロンは妊娠を継続するために
必要なホルモンで、
子宮内膜の血流促進や体温を上げたりします。

排卵の前後に精子が子宮に入ってくると、
精子は子宮から卵管を通って移動していき、
その途上で卵子と出会い、
卵子の膜を破って中に入って合体し、
受精卵となります。

受精卵は細胞分裂を繰り返しながら
6〜10日かけて卵管から子宮に移動。
準備された厚い子宮内膜に着床して、
初めて妊娠が成立します。

ところが妊娠していないとわかると、
排卵から約10日後にプロゲステロンは
分泌されなくなり、
今度は子宮内膜からプロスタグランジンという
生理活性物質(ホルモンではありません)が産生され、
その刺激で子宮が収縮して内膜がはがれ落ち、
月経が起きます。

月経は妊娠しなかった時に起きるものですが、
卵巣から女性ホルモンがきちんと
分泌されているというサインでもあります。
生理が3カ月来なかった時には必ず医師に確認、
相談しましょう。

初潮と閉経の時期を決める要因

女性ホルモンの大元をたどると、
コレステロールに行き着きます。
女性ホルモンの原材料は
脂肪の一種であるコレステロールなので、
体に脂肪がある程度ないと
エストロゲンの分泌は始まりません。

女の子が成長のピークを迎えて、
身長が1年に8㎝ほど伸びるのが10〜12歳。
身長が伸びると胴まわりにある程度
脂肪が蓄積されてきて、
成長のピークの1.3年後に
初潮を迎えることがわかっています。

マラソン選手に月経が止まってしまう人が多いのは、
原材料である体脂肪が少なくなりすぎてしまうことが
原因の一つとされています。

一方、閉経の時期は
女性ホルモンの分泌量で決まります。
卵子のもとである原始細胞が残っていても、
卵巣の働きが衰えて
女性ホルモンの分泌量が減ると閉経を迎えます。

卵巣機能を長く保つ、
すなわち早めの閉経を避けたい人は喫煙を避け、
血中のコレステロール値を
正常に保つように心がけましょう。

ストレスと月経の関係

月経を起こすエストロゲンとプロゲステロンは
卵巣から分泌されますが、
分泌には脳からの指令が必要。

ここでポイントとなるのが、
視床下部はホルモン分泌の指令を出すと
同時に自律神経も支配しているということ。
身体的、精神的なストレスを感じると
視床下部は自律神経のバランスを
取るように機能しますが、
ストレスが強くなると対応しきれず交感神経と
副交感神経のバランスが乱れてしまいます。

自律神経の乱れにより視床下部の機能が低下すると
女性ホルモンを分泌させる系にも影響し、
結果的に月経周期の乱れなどにつながっていきます。

エアコンが利きすぎている現代は、
屋外と室内の気温差が激しく、
30分単位で夏と冬が入れ替わっているような状態。
また昼夜逆転の生活も容易に起こり得て、
自律神経にとってはシビアな環境です。

身体的にも精神的にもストレスを抱えすぎないように、
日ごろから生活リズムを整え、
ヨガや呼吸法で
自律神経のバランスを整えるように工夫しましょう。

教えてくれた人=高尾美穂

産婦人科専門医。スポーツドクター。
女性のためのクリニック「イーク表参道」副院長。

Text - Yogini編集部

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