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ヨガ哲学で考える食とSDGs

SDGsは地球への「アヒンサー」

ヨガをしていると、「アヒンサー」という言葉を
耳にすることがありませんか?
「アヒンサー」は、非暴力という意味で、
ヨガを深めていく八つの段階を示す、
八支則の一段階目「ヤマ」の一つ。

「アヒンサー」の意味する非暴力は、
単に誰かに暴力をふるわない、ということではなく、
他人、動物、植物、地球そして自分自身、
この世界に存在する
すべてのものを大切にするということです。

SDGs(=Sustainable Development Goals)は
今を生きる人達も、
未来を生きる次世代の人達も
みんなが幸せでいられるための
「持続可能な発展」を遂げるための目標。
その目標を達成する過程で、
ヒトだけではなく、動物や植物も含め、
“地球上の誰も取り残さない”ということを
掲げています。

つまり、「アヒンサー」を守ろうとする行動は、
今、そして未来のために
地球上のすべての幸せを実現しようとする
SDGへの貢献に必然的になると言えます。

今回は「アヒンサー」という視点から、
SDGsへの貢献とも言える
“心と体と地球が循環する食”について
一緒に考えてみましょう。

地球にとって優しいアヒンサー的食事とは

地球にとって「アヒンサー」な食べ物とは何でしょうか?
それは、地球の自然な循環の中で
生成される食物をいただくこと。

「アヒンサー」では、生き物を殺すことは
禁止されているため、
菜食主義を実践するヨギーニも
中にはいるかと思います。

しかし、一概に肉食が悪いかと言うと、
そういうことではありません。
ヨガの聖典の一つである『ヴェーダ』の中には、
人が生きるために
必要なものを必要なだけ食べるのであれば
肉食もOKという考え方があります。

自然の営みの中で行われる
動物達の弱肉強食はまさにそうですね。
動物達は生きるのに必要な分だけ食べ、
お腹が満たされれば、他を襲うことはありません。

しかし、人間の場合は、欲やエゴで食べることも多く、
自然の循環からズレてしまうことも多々あります。
欲のままではなく、本当に自分が今必要としているか、
体の声をよく聞いて食事を心がけたいですね。

菜食も肉食も命をいただくことという点は同じです。
自分が本当に必要な量を、
すべての命に対して心の底から感謝していただくことが
アヒンサー的ひいては
SDGへの貢献へとつながっていくでしょう。

オーガニック食品の落とし穴

SDGsと言うと、オーガニックフードを
思い浮かべる人も多いかと思います。
オーガニックとは本来、無農薬、無化学肥料で
植物が本来持つ生命力を引き出して栽培された食品。
しかしひと口にオーガニックと言っても、
現状として、栽培品質にばらつきがあることも事実です。

そこで紹介したいのが「自然農」。
「自然農」とは、草を刈らず、虫を殺生せずに、
農薬や肥料も使わず、
自然の循環の中で作物を育む農法です。
生育する環境に住んでいる生物達の
自然な食物連鎖により、
野菜を守るのが特徴。

自然農をしている人は、
自分も自然の一部であることに
喜びや幸せを感じています。
そのように育てられた野菜を
おいしく感謝していただくことが本当の循環であり、
SDGs的、かつ本当のアヒンサーフードと言えますね。

また、今は“オーガニック”もビジネスの時代。
オーガニックフードと謳うものを食べていても、
実はSDGsとはかけ離れた食品を
口にしている可能性があるのです。

例えば、過酷な労働環境下で
オーガニックフードが作られているケースも
少なくはありません。
そこで選びたいのがフェアトレード商品。
発展途上国で作られた作物や製品を、
適正な価格で継続的に取引し、
作り手の生活向上を持続的に支えようというのが
フェアトレードです。

オーガニックに固執して、
生産過程で誰かの労働力を搾取した食べ物は、
エゴイストフードになってしまい、
せっかくオーガニックを選んでも
SDGsに逆行してしまいますね。
自分の目で見極めて正しい選択をするように
心がけましょう。

旬な食べ物を選んで自然な好循環を

非暴力な食べ物を選んで、
心と体と地球にいい循環を起こしていくには、
特に旬のものを食べることがオススメです。
地球の自然の流れに逆らうことなく育った旬の野菜は、
まさに最強のアヒンサーフード。

地球で循環するものは
体内でもいい循環を引き起こします。
例えば、夏の野菜には水分を多く含み、
ほてった体を冷やし潤してくれ、
秋になると甘みのある野菜が登場し、
夏の疲れを癒やしてくれます。

エネルギーに満ち、栄養価も高くなる
季節の食べ物をバランスよくいただくと、
腸内環境も整い、心身ともに自然と満たされ、
自分自身を大切にすることにも
つながっていくでしょう。

一番身近な「食」からアクションを考える

いかがだったでしょうか?
「アヒンサー」という視点から
毎日の生活に欠かせない“食”について
SDGsの観点も踏まえて考えてみました。

情報があふれる社会。
食に関しても何が正しくて何が間違っているのか
判断が難しいことも多くあります。

しかし、毎日の食事の中で、
必要な量を命に感謝しながら丁寧にいただく、
というのは誰でもすぐに実践できること。
その心がけを持つだけで
食事との向き合い方は変わってくるでしょう。

教えてくれた人=Kazuya(冨岡和也)

料理人、フードコーディネーター、栄養士、
インド政府機関認定アーユルヴェーダセラピスト。
食のアトリエ『Natural Lifestyle』代表。

Text - Yogini編集部

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